ハリム
- 「聞き取れない… お迎えが来たようだ… 闇の中から…」
- ドワーフが地面に倒れ、暗い空を見つめている。致命傷はなさそうだが、震える囁き声は弱々しく、まるで瀕死のようだ。「グロトゥス… あなたの影が近づくのを感じる… もう長くはないようだ… もうすぐ参ります。ああ、忘却の王よ…」
- ドワーフの傷口は浅く、治り始めたが、囁き続けている本人はまだ気がついていないようだ。「手遅れだ… すまない… 忘却が呼んでいる…」
- 「そんな馬鹿な!」ドワーフは頭を上げ、体を注意深く調べた後、手足を動かそうとした。「お前の… お前の言う通りかもな」
- ハリムは髭を撫でて整えた。「お前の言葉は空虚だ。グロトゥスの知恵を理解しない者の言葉のようにな。しかし横暴なタートゥチオよりは従う価値がありそうだ。お前に仕えながら、我が信仰について教えてやろう」
- 「もう駄目だ… やはりこの遠征は破滅するんだ… ああ、グロトゥスよ。目の前が暗くなってきた…」
- 「失礼な。瀕死の者にそんな口を利くとは! 見ろ、動くことすらできない!」ドワーフの手は動き、困惑した表情でそれを見つめた。「そんなはずは… 私は致命傷を負っているんだ! 自分の足で立つことだって… 見ていろ!」
- 「まだ始まってもいないのに、もう報酬の話とは… これが上手くいくと思うのか? どうせ皆死ぬんだ。誰が称号を得るかなんてどうでもいいだろう…」
- ドワーフはうめきながら足を動かし、心配そうに血痕のついた鎧を見下ろした。「私は… 死なないようだ。神にお会いできるのはまだ先… 少し先か。だがこの儚い世界にいる間は、このハリムに何なりとお申し付けを」
- 「何を急ぐ必要がある? 行き着く場所は皆同じだ」
- ハリムは悲しげに髭をねじった。「お前の味方になる? そんなことに意味があるとは思えない。タートゥチオに仕えることには、他と同じく満足している。結局はグロトゥスの平和が我々を待ち受けるのだ」
- 「そんな訳がない… 当人の傷は当人が一番よくわかっているはずだろう…? 生命力の最後の一滴が流れ出ていく…」
