瀕死のドワーフ
- 最後の足掻きで力を使い果たしたようだ。唱え終わった途端、だらんと腕を落として息絶えた
- 妙な静寂に包まれた。自分の足音も咳も遠くに感じられる。暗くなった気もする… 目がおかしいだけか? しばらくすると妙な感覚は薄れたが、古代ドワーフの呪いは発動したようだ
- あなたは振り返り、全力で逃げた。外でも他の部屋でも、とにかくこのドワーフの呪いから離れようとした。しかし闇に包まれ、再び床が揺れた。よろけて転倒し、ドワーフの重々しく聞きなれない言葉によって地面に叩きつけられた
- 治癒が効いてくると、ドワーフは独り言を止めた。状況を把握したようだ。力を振り絞って首を動かし、あなたを観察した。「トロル… ではないか」
- あなたと同様、仲間たちは怯えていた。ためらっている間にドワーフが口を開いた。「シリル・ダラボシュ・ナドザク」そう言って息絶えた
- ドワーフはどう見ても長くもたない。失血が酷く、傷も深い。普通ならとっくの昔に死んでいる。まだ生きているのは奇跡か、あるいは強靭な意志によるものか
- ドワーフに声は届かないようだ。「シリル・ダラボシュ・ナドザク!」そう言い終えると、ドワーフは息絶えた
- ドワーフを放置し、一人で死なせることにした。やがて動かなくなったが、死んだのか気絶したのか確かめる気はない
- 治癒は多少効いたようだ。ドワーフは半分意識を取り戻すと、未知の言語で喋り出した。「カラダシュ・クラムル・ダグ・ガダロン」突然周囲が薄暗くなり、ドワーフの声に共鳴するように床が揺れ始めた。「ウズマル・シリル・ナドザク!」
- 「奴らの… 仲間かと…」ドワーフは咳き込んで黒い血を吐いた。「私は… トラグの神官… 古代の拠点を探していた… 見つかったようだ…」彼は笑おうとして、再び咳き込んだ。「こっちに来い…」力を振り絞り、祝福の言葉をかけてくれ
- バラバラ死体が山のように積み上げられている。人間やドワーフ、牛、羊などの死体だ。新しいものも腐り始めているものあり、廊下には強烈な悪臭が充満していた。トロルたちはここに肉を保管しているのだろう
- 通り過ぎようとした時、死体の山の片隅で何かが動いた気がした。よく見ると、死体と思われたものはまだ死んでいなかった。胸を露わにしたドワーフが虚ろな目で天井を見つめながら、静かに唇を動かしている。胸には大きな口で噛みつかれた
- ドワーフは静かに息絶えた。冥福を祈りながら立ち去った
