フレデロ・シネットからの手紙
高価なモノグラムの紙は、微かに鼻にツンとくる臭いがした。安定した繊細な手書きの文字の線は、気まぐれな曲線で飾られていた。「親愛なる、男爵様! 重い心でこの言葉を書いています。今日ペンを取った理由は、恐らくあなたを驚かせることでしょう。つい最近噂を聞いたのですが… ある迷える魂が… かつては我が女神の祝福を受けた者ですが、あなた方に保護されていると聞きました。私が話しているのは、永遠の薔薇騎士団の最も価値があり寛大な後援者の一人の娘のことです。彼女はかつて、我々の下を離れるという過ちを犯しました。私は今、心から確信しています。彼女が神によって定められた道へと戻る時だと。私はいま、西へ向かって旅をしています。そこはシェリンの聖堂として選ばれた場所で、私の協会の若い信者が入居することになっています。私はある目的のために我々の道から少し離れる必要があると、考えました。それは、あなたの土地に行き、ヴァレリーを連れ出すことです。この旅がシェリンによって選ばれた者の、若さによる衝動の為に判断が曇ってしまった者の、浄化の旅になりますように。あなたには彼女が我々より上の存在に仕えることになったとして、ヴァレリーを奉仕への誓いから解放してくださるよう、お願いいたします。彼女をブレヴォイとの国境にある交易所に連れて来てください。そこで私は仲間と共に、彼女を待っています。英知とご慈悲をお祈りいたします。尊敬と敬意をこめて。フレデロ・シネット」
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