司令官の日記(後半)
この本には書き出しがなく、ページはほとんど失われている。上質な羊皮紙はシミだらけでまともに読めない 「4499年サレーニス ロストランドが燃えている。蛮族どもが連れてきたドラゴンのせいだ。商人はもはや見当たらず、盾の道を通るのはみすぼらしい格好で飢えと怪我に苦しむ者ばかりだ。我々のおかげで、彼らは盗賊に襲われずに済む。だがこれも長くは続かない。三部族は既に破産している。我々がここに留まる理由は一つ。最初に逃げ出して面子を失いたくないのだ 4499年アローダース シルバーシールド要塞から報せが届いた。ウォラダシュが撤退中とのこと。誰もが彼らを罵っているが、私は内心ホッとしていた。彼らが率先して泥を被ってくれたおかげで、我々は面子を失わずに済むのだ。勇敢ぶったり、スケッジとラングバックだけでやってみせると豪語する者もいたが、それが空虚な強がりであることは明らかだった。これで盾の道も終わりだ 4499年トラウシュ 我々は荷物をまとめ、要塞を封鎖することにした。数年、数百年、いや数千年先まで。我々の子孫がここに戻ってくる日まで。持っていけない物は多い… まあ少なくとも、隠し部屋の使い道は見つかった! 特に“焦掌炉”は置いていきたくなかった。河川諸王国において、あれほど素晴らしい炉は他にない… トラグへの捧げ物と考えれば、惜しい気持ちも紛れよう。我々はこの炉で数々の魔法の矢や剣、斧を作ってきた! 燃え滾る魔法の鋼で数多くのトロルを屠ってきた! それでもこの炉は持っていけない。この要塞が誰にも見つからず、仮に見つかっても、中に入られないといいのだが 見張り塔の近くにも、宝物を隠していかねばならない。これは三部族の代表者が集まり、鍵を揃えないと開かない仕組みだ。ウォラダシュは鍵を持ったまま撤退してしまった。まあ、それも当然か 最後の隠し部屋は複雑な機構に精通した老オルスが封鎖した。彼はこの機構の仕組みすら教えてくれなかった。ただニヤリと笑って、要塞の客に出会う太陽と空の炉に対面する月などと呟いていた 4499年ラーマーシャン 三百年間、三代に渡って守護してきた要塞を後にする。偉大な曾祖父たちが敷き、我々が人生を捧げた道を歩いて帰る… 盾の道は我々にとって恥ずべき道となった。だが諦めの悪い者もいた。数名の命知らずが最後の盾を名乗り、命尽きるまで道を守り抜くと誓いを立てた。ターリク王が復権させようとしたドワーフ精神は、彼らにこそ宿っている! 最高の戦士たちだが… 悲しいかな、人知れず死ぬことになる。若きワークもそうした一人だ。彼は見張り塔から動こうとしなかった。ラングバックの鍵は彼に託した。相応しい者は他にいない。老ガウジェン・スケッジは臆病者ではなく頑固な老骨として死にたいと言って、ワークとともに残った。返す言葉もない… 我々は王と先祖を失望させたのだ さらば、ブロンズシールド要塞! ドワーフが舞い戻るその日まで、安らかに眠れ」
- 価格
- 10 gp
- 重量
- 0.5 lb
