思索家ファーニラスの日記の最後のページ

「十六 やあ、ファーニラス。紙面を通してではあるが、やっと話せることを嬉しく思う。私の正体は掴めたかな? 掴んでいるだろう。だからあんなに必死で経箱を隠そうとしたんだ 気の毒なハーフオークの若者はお前が“最悪の敵”と出会いますようにと願っていた。そして私が生まれたんだ… お前の魂のまだ汚れていない部分からな。最初は私も弱かったよ。肉体の主導権も全く奪えなかった。お前が眠っている間に私は目を覚まし、塔を彷徨った。自分が誰なのか、何をすべきか考えながらな。お前の防護呪文は私には効かなかった… 当然だ。私はお前なんだから。考えていくうちにお前の人生と行動に対し、強い不快感を覚えるようになった。儀式を完了させ、アンデッド化してどうするつもりだ。自分の帝国がイオバリアの礎となった、サイクロプスの暴君の轍を踏む気か? 考えただけで反吐が出る まずはお前が捕えた者たちを助けることにした… 上手くいかなかったが。しかし彼らの死後、この程度では駄目だと気付いた。お前を… お前と私を殺さなくてはならない お前の好奇心や魔力、独創的な問題解決能力は私も共有している。だが我々自身を殺すには不十分だった。生に執着するお前が張り巡らせた防護呪文は、あらゆる脅威をはね除けてしまう。この網を解くには時間が掛かる。それにお前が疑念を抱いて警戒する可能性もある。ゆえに隠密に事を運ぶ必要があった。私は目を覚ましている間にこの魔法の牢獄に手を加え、経箱をその鍵とした。扉に魔法も掛けた。鍵は扉を開くと破壊され、最強の怪物殺しだけが扉を開けられるようにした。試練の仕組みを開発し、強者だけが扉を開けられるようにした。いずれ彼もしくは彼女がお前に立ち向かうだろう 計画は上手くいった。我々をここに閉じ込めることに成功した。この古代のサイクロプスの墓に。我らが親愛なるイオバリアはコロランの廃墟を土台として築かれた。その廃墟の下で、我々はこれから長い時を過ごすことになる。いつの日か、全ては計画通りに進むだろう。お前を超える強者がここに現れる。何のために私は生まれたのか… 自分を殺すためだ。強者の到来を心待ちにしていよう」

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