汚れたノート

「最悪の時代だ。道は泥棒だらけ、農民は脇目も振らずに逃げていく。そしてこの病気だ。熱に浮かされた者の体内から怪物が這い出てくるのをこの目で見た。なのに我らが男爵は何の手も打たない。こんな状況が続けば、男爵は怪物や泥棒から税を取らざるを得なくなる。なんせ他に誰もいないのだから 神や男爵が手を差し伸べてくれない以上、この地を守れるのは自分しかいないと思った。泥棒や怪物を一掃するのは無理でも、正義を取り戻すことはできる 昨日、エルサ婆さんのニワトリが死んだ。あんまりな仕打ちだ。馬鹿で意地悪なガラルドを利用しよう。あいつはニワトリを山ほど飼っている。卵や肉も余ってるはず。こんなの不公平だ。だから夜にあいつのニワトリ小屋に忍び込んで、一羽いただくことにした。一羽だけなら問題ないだろう。そいつをエルサのニワトリ小屋に入れておいた。朝になれば婆さんは大喜びだ。ガラルドのニワトリはエルサが失ったニワトリとはちっとも似てないが、まあいいだろう。卵の味なんてどれも同じだ。大事なのは、正義を取り戻したということ。男爵は城で好きなだけ手をこまねいていればいい 気難しいラルフのことは昔から嫌いだった。あいつはこんな時代でも変わらず裕福だ。牛を二十頭くらい飼っているはず。あいつは貧しい近所の者たちを見ては、ほくそ笑んでいる。家畜を失った彼らに馬鹿みたいな値段で牛乳を売りつける。だから夜のうちにあいつの牛たちを古い小屋まで連れていった。近くに牧草地もあるし、飢えはしない。そいつらから搾った牛乳を村に持っていって、欲しい人に渡す。牛乳の出所なんて誰にも分からない 牛たちは上手く隠したはずだが、翌朝にはいなくなっていた。角とか皮、尻尾は残っていた。ツイてないな。まあ、これでラルフも好き勝手はできなくなるだろう 昨日、路上で立派な雄馬を見つけた。全身真っ白で、側面には美しい斑点があり、鞍にたくさん付けられた光り輝く記章には目が眩むほどだった! 飼い主は多分小便しに立ち止まった金持ちだ。戦っても勝てるわけないが、この雄馬を手に入れるくらいは… 簡単だ。紐を解き、背に跨って村まで走った。こっそりフレイおじさんの小屋に雄馬を隠した… おじさんの老馬はもうすぐ死ぬだろうから。今日馬の様子を見に行ったら、そこには焼け落ちた小屋の残骸しかなかった。周囲にはたくさんの馬の足跡があり、まるで騎兵隊が通ったかのようだった。妙だ 欲張りなリックマンは穀物を貯めこんでるくせに、他人に分け与えようとしない。夜更けにあいつの倉庫に忍び込み、穀物袋を一つ持ち出した。それをルーシーおばさんにあげることにした。袋は重たいが、正義のためならこんなの軽い。袋はおばさんの倉庫に隠した。だが翌朝行ってみると、リックマンの野郎は嗅ぎつけたかのように真っ直ぐルーシーの倉庫に向かい、中を荒らしていった! 悪党め 俺が陰で奔走していることを知ったら、みんな俺のことを褒め称えるだろう。だがここで止まるわけにはいかない。人の不幸を見過ごすなんて無理だ。今こそ、みんなの幸せな暮らしを取り戻す時。明日、牡鹿の王の隠れ家まで行って、貧しい農民や難民から奪った宝物を全部盗み出す。真実は必ず勝つのだ。それが済んだら今度は男爵の金をいただく。金庫に何を隠していようと、きっと暴いてみせる」

価格
10 gp
重量
0.5 lb
汚れたノート - Kingmaker