研究日誌
「森に入った。見つけたのは、たくさんの木の根っこや松ぼっくり、花… それから、死んだリス。これじゃ何の役にも立たない! 実験に必要な、もっと貴重な材料がどこにあるのか探さなくては。 … 森を探索中に、忌々しいアライグマに小屋に入り込まれた。ガラス製品が全部割られた。残ったのは平底ガラス管が10本、丸底フラスコが5個、磁器すり鉢が1組、乳棒が3本、貴重な螺旋だけだ。幸運にも、壺は全部無事だった。質のいい薬品がたくさん駄目になった! 残念だ。全部物置にしまっておかないと。 … 今日は実験を完了させようとした。古い研究室で始めた実験だ。師匠の箱にあった鉛粉を使った。結晶化の段階で液体は泡立ち、変色し、沈殿物が形成された。また失敗だ… 必要な物資も使い果たしてしまった。 … アライグマが罠にかかった。小屋に入り込んだ奴じゃなかった。狩人を雇って実験材料を取って来させるか? だがお金に余裕はない。何よりあの田舎者たちには嫌われている。私に角など生えていない! … 3回目の結晶化実験。最後の丸底フラスコが割れた。先生に不器用と言われて掃除をさせられたのを思い出す。たぶん彼は正しかった。だがそれでも多くを教わった。しかしなぜ彼は能力を伸ばすよう指導しなかった? 基本的なポーションの作り方以外教える気がなかったのか? まだ早い、ずっとそう言っていた。だが実際は教え子に追い抜かれることを恐れていたのだ。確かにその心配は当たっている。この方法が上手くいくことを証明してやる。皆に知らしめてやるんだ。 … 今日、近くの村からやってきた老女にヤギの乳がもっと取れるようにしてほしいと頼まれた。断れるわけがない。なにせお金がないのだ。ああ、なぜ私はこんなことを? … 退屈、退屈、退屈!」 数ページの空白の後に続きが書かれている。 「観察1日目 ついに。ついに絶好の機会が訪れた。森の中で瀕死のエルフを見つけた。絶命寸前で体中に蟻が群がっていた。彼女は何者だ? 何があった? どうでもいい。こんな日が訪れるのをずっと待っていた。 小屋まで彼女を引きずってくるのは大変だった。服を脱がせ、小屋の隅にある鞄の後ろに彼女を隠した。つまらないことに才能を無駄遣いするのはもうお終い… 行動の時だ。 師匠の箱にあった一番大きいガラス管を使った。注意書きがある(“皮膚に付着した場合、すぐに洗い流すこと”! ふん! よくある注意書きに過ぎん)。薬品を彼女の全身に振りかけ、観察を開始した。 観察3日目 実験体は死ななかった。拘束して猿ぐつわをかませた。うめき声が外に漏れては困る。彼女の皮膚は変化している、だが… 変化の正確な特徴をつかむのは難しい。化膿の初期段階か? 処置をした箇所からかすかに匂いがする。 観察5日目 変化は続いており、その速度も増している。表皮はただれ落ち、関節は腫れ上がり、硬質化している… それに実験体は熱があるようだ。 観察9日目 この数日間で実験体の足がカビとコケに覆われた。指とつま先は長く伸び、ねじ曲がった。地面に向かって伸びているのか? 実験体を表に出そう。日光に当てる。 観察13日目 肉体の変化が激しく、今の外見から元の姿を思い出すのは不可能だ。激しい成長が体表を覆っている。新種のコケ、カビ、草などが毎日見つかる。 実験体は動こうとしている。拘束する必要があった。意思疎通を試みたが、彼女は意味不明な音を発するだけで、吠えている様にも聞こえる。再生が進めば知性も戻るのか? 観察18日目 実験体は何倍もの大きさになった。彼女は現在… ここ数日は奇妙なほど静かだ。心配になってきた。愛着が湧いてしまったようだ。彼女のおかげで有名になれる! 観察25日目 現在進めている実験は完全に私の思うままだ。彼女はまるで小さな木… 立派な歩く木だ! 大きさは既に8フィート、子供も育っている! 広々とした空間や新鮮な空気、日光をもっと与えたい。肥料も多少は必要だろうか… とりあえず今は紐につないで森を散歩するくらいか。 今までで最高の成果だ! もうすぐアブサロムに向かう準備が終わる。そこで… そこでこの傑作を披露しよう。この子の名前を考えないとな…」
- 価格
- 0 gp
- 重量
- 0.5 lb
