ティグ
- ティグ
- 「無礼な! 村を破壊したかと思えば、今度は最後の養分まで奪う気か? なんて時代だ… まあいい。取引しよう」
- 「私はシマーグロウ伯爵。友人には“閣下”と呼ばれている。私がこの村と愚かなトカゲどもの持ち主だ。対立しない方が身のためだぞ」
- 「止めろ!」少年の声はいらだちで震えているが、安堵と感謝の念で目つきが穏やかになった
- 「この蛮族どもの原始的な恐怖はとても食べ応えがある。だがスパイスが足りない。味が薄すぎるんだ。私は生まれつきの食通でね。たまに甘いものや柔らかいものが食べたくなる。この子供の恐怖はデザートにぴったりだ!」
- 「そうだな、何だろうな? 謎! 秘密! 愉快な茶番だ! ハハハ! とある有力なお方に仕えているのは私だけではない、とだけ言っておこう!」
- 少年は再び不自然な笑い声を上げる。「正直な話、子供が欲しいなら他にも何か差し出してもらうつもりだったが、族長を前にしたお前の話しぶりには驚かされた。あれほど根深く、原始的で強烈な恐怖を味わったのは久しぶりだ」
- 「ああ、老トカゲの登場か。じゃあ…」
- 「取引できて良かったよ。子供はお前のものだ」少年は急に深く息を吸う。溺死寸前で水面に顔を出したかのような様子だ。目に涙を浮かべている。「家に帰りたい…」彼は泣きながら言った
- 少年が小屋の真ん中に立っている。青白く、怯えたように目を見開いている。しかし彼が口を開くと、遥かに年老いた声が聞こえてきた。自信に満ちた、馬鹿にするような声だ
- 「素晴らしい、素晴らしい。取引は取引。少年は君のものだ!」少年はあえぎ、目に涙を浮かべる。鳴物師は震えながら膝をつき、うめき始めた
- 「本当に嫌な客だよ。お前が族長を勇気づけたせいで部族の恐怖が和らいでしまった。しかも最後のご馳走まで奪うつもりとは。人間め… まあいい。平和的な解決はまだ可能だ」
- 「少年を連れ戻しに来たんだろう?」
- 「あの老いぼれトカゲにはうんざりしている。奴の唄は部族から恐怖を吸い取るからな。だが奴は私を恐れている! うーん、実に美味そうだ。奴の最後の恐怖を味わいたいものだな!」
- 「我が主がお前の世界の神だと? 矮小な定命の者が原初の世界とその神々について何を知っている? 仮初にもその名を口にするな!」
- 「偉大な先祖に跪け、定命の者! さもなくば天罰を下す!」少年は不気味に笑い出す。「よし、おふざけは終わりだ」
- 相手が何なのか判別できない。幽霊? デーモン? フェイ? もっと違うものかもしれない。なんにせよ、少年に憑りついているようには見えない。恐らく透明の姿で少年の傍に立ち、テレパシーで操っているのだろう
- 「恥知らずめ! 村に押し入り、我がトカゲたちを皆殺しにするなど… なんたる蛮行!」
- 「お前が来るまでは楽しくやっていたよ。この無垢なトカゲどもの苦痛や恐怖を喰らいながらな。お前が行った虐殺は最後の晩餐のようなものだ。たらふく食えたよ。だが安定した食糧源は失われた… この坊やを除いてはな!」
- 「ああ、老いぼれトカゲのご登場だ。ヴェスケット? 奴を殺せ」
- 「お前のせいで奴が最後のトカゲだ。ここを去る前に食べないとな。選択肢は限られている。老いたトカゲか少年か。お前は血に飢えているが、それを悪いとは思わない。だが少年を救いたいなら、少し自分を抑えて老いぼれトカゲを連れてくる
- 「楽しんでいる。この騙されやすいトカゲどもは私の言うことなら何でも従うからな! 奴らの一生が生き地獄になるよう努めている。そうすれば奴らの恐怖や痛み、恥を食える。最も美味な感情だ!」
- 「ダメダメダメ。値引きをしたいなら市場でやってくれ。条件は譲れない。子供がほしいなら鳴物師を連れて来い」
- 「偉大な先祖を疑うのか? 復活する時代を間違えたようだ。これでは部族を栄光に導くなど無理な話。ではさようなら、もっと賢い者が長になったらまた来るとしよう。いいな族長?」ヴェスケット族長はゆっくりと武器を持ち上げる。怯えた
- 「少年は正直どうでもいい。解放してやってもいいぞ、もっと価値のあるもの… 例えば老いぼれのリザードフォークを寄越すならな。鳴物師と言ったか? 定期的に村の外を歩いてる奴だ。奴をここに連れてこい。生きたままでな。そうすれば
- 「お前はいつもこんなに無礼なのか? まあいい、目当ては少年だろう? 解放してやってもいい。もちろん対価として価値のあるものをいただくが」
