ジュビロスト
- 「ハッ! 不敬なせいで退学になったわ!」
- ヴァレリーは赤面しながらも反論を試みる。「まさか! ですがその無神経さはよくありません。意見を述べる時はもっと礼儀に気を付けなさい」
- 「自身を過大評価しているようですね、ノーム様。この地にいる間は礼儀を弁えなさい!」
- 「待って… ジュビロスト・ナーソロプル? "ピタックスへの十四・五の賛辞"の著者の? なんてこと… 大芸術院の全学生があなたの著作を読み耽ったわ。それらが禁書扱いになった挙句あなたが死刑をくらった後は特に!」
- ヴァレリーはさらに顔を赤くし、背を向ける。ノームに腹を立てたようだ
- ジュビロスト
- Banter_Regongar_C21
- 「なんと! 素晴らしい! すぐに地図に記さねば!」興奮して叫ぶジュビロストの耳にトロルの話は届かない。「この目で確認したい! 案内しろ! 荷馬車は… まあ気にするな、何とかなる。後で誰かに回収させる」
- 困惑するあなたの顔を見て、ノームは少し優しくなる。「言論の自由を味わうのは初めてか。お前は正しいと思うことをすればいい。その是非を問うのは他人の仕事だ。誰でも男爵になれるわけじゃない。ゆえに運が悪い奴にできることはお前の
- 「言っただろう。少し前に首都に行ったんだ。話を聞いてなかったのか?」ジュビロストは不思議そうにしている。「私が来れば普通は役人が出迎えてくれるものだ。私の名声や功績は広く知られているからな。それに大抵の役人は私と良い関係
- 「かもな」ジュビロストは肩をすくめる。「ドワーフは地下を好む。トロルもそうだ。ドワーフが去った後、そこに奴らが住み着いた可能性は十分にある」
- 「まあ、従者はまだ何人か生きている。奴らをきっちり育て上げるのがどれだけ大変かわかるか? ジュビロストは息継ぎもせず喋り続ける。高ぶった感情を吐き出したいようだ
- 「だから私の見解を伝えたのだ。わかりやすく。クソくらえとな… そんなことを言っていたら、コボルドどもが荷馬車の紐を外そうとしていた! 荷車を守るために部下を呼んだが… 口を開けたまま立ち尽くしていた。どうすればいいかわか
- 「とにかく、この旅はもうすぐ終わる。記事は書けたし、地図も完成した。あとは数百年前に建てられたドワーフの拠点を探すだけだ」
- 「まあ、お前は緊急事態に強いことを証明した。背中を任せてもいいだろう。では行こう! 荷馬車は後で誰かに回収させる」
- 「信じられるか? 奴は自分をコボルドの王だとか言って、我々に服を寄越せと命令したのだ。“民にちゃんとした服を着せたい”とか何とか言って。今や奴らも王国民だ」立腹したジュビロストの顔が赤くなる。「本当にそう言ったんだ。なぜ
- ノームはついに黙り込む。彼はあなたに狡猾そうな目を向ける。口を開けたり閉じたり、何か言いたそうにしているが、何も思いつかないようだ
- 「おお、そうか? なら言っておくが…」
- 「タートゥク王とは!」ノームはあなたを見てウインクする。「では王様に反逆するとしようか?」
- 「ジュビロスト・ナーソロプル、主人を持たない従者だ」自己紹介する彼は傷ついた頬に触れ、顔をしかめる。「閣下は荷馬車すら助けられないのだな。まあ、男爵本人に迅速な対応なんて期待すべきじゃないか。大抵の称号持ちは頭脳労働役と
- 「なんてご立派な騎士道精神だ」ジュビロストはヴァレリーをじっくり眺める。「それでどうしろとおっしゃるのか、勇敢で凛々しい騎士様? 嘘をつけと?」
- 「ありがたい」ジュビロストはうなずく。「しばらくここにいる。後始末がまだだ」
- ノームの探検隊のリーダーは額の汗を拭き、コボルドを睨みつける。「連中が荷馬車を盗もうとしている時に話しかけてきたのはこいつだ」
- 目の前のノームはぼろぼろの汚れた服を着ている。元はお洒落で豪華な服だったが、それは昔の話だ。黒髪は絡まり、頬には血の滲む深い切り傷がある。この惨めな格好とは裏腹に、ノームには威厳があり、傲慢な態度を維持している
- 「ジュビロスト・ナーソロプル、何なりとお申し付けを」自己紹介した後、彼はあなたの仲間をじっと見る。「コボルドを退治し、沈みかけた荷馬車を引き上げてくれたことには感謝を。手遅れになる前でよかった」
- ジュビロストは咳払いし、立腹する魔術師には目もくれない
- 「その拠点の一つがこの近くにあるはずだ。失われ、見捨てられた拠点がな。だが偉大な製図家であるジュビロスト・ナーソロプルの鋭い目からは逃れられない。ジュビロストは胸を突き出す。「私はこの拠点を見つけ出し、地図に場所を記すの
- 「そうかそうか! この粗末な男爵領にも基礎教育を受けた者はいるようだ… 怪しげなピタックス 大芸術院の学生でなければなお良かったが!」
- 「騎士様、形式や外見に囚われるのは止めるべきだ。美しい顔のあなたには難しい話だろうが。大事なのは中身だ」
- ジュビロストがその発言が自分に向けられたものだと気付くまで数秒掛かった。ノームは憤り、口を大きく開けた。「思い知らせてやる…」
- 「どれも読んでいないのか? まあいい、何も言うな。これ以上幻滅したら好意的なことが書けなくなる」
- 「ああ、またお前か」ジュビロストは相変わらず微妙に友好的な挨拶をする
- 「なんだこいつは?」ノームはオクタヴィアを値踏みし、呆れ顔で嘲笑った。「あっちに行け、お嬢さん。これは大人の会話だ」
- 「従者は全員死んでしまった。能無しだったが、その分給料も安かったんだ」ジュビロストは息継ぎもせず喋り続ける。高ぶった感情を吐き出したいようだ
- 「シェリアックス人のような口ぶりだな。好きにすればいい、だが警告しておこう。世界中が私の居場所を知っている。私に何かあれば、近隣諸国は必ずそれに気付くだろう」
- 「なんと、男爵が言論の自由を支持するとは! 驚きだ。だが私の記事を読んでも同じことが言えるかな」
- 「待て、待ってくれ!」ジュビロストが引き留める「一つ、力を貸してほしいことがある」
- 「ついでにハッキリ言っておこう。お前の男爵領はまともに歩けたものではない。川を渡る時は浅瀬を探さないといけない。橋すらないからだ。ゆえに旅人はコボルドの影に常に怯えなくてはならない」
- 「その昔、この地を通過するドワーフの交易路があった。五王山脈と北部を繋いでいたんだ。この交易路はドワーフにとって重要だったからな、道沿いにいくつもの拠点が建てられた。そこに配置された兵が商人を守っていたんだ」
- 「それと指図するのは止めてもらおうか」
- 「"内海の食文化史"は?」
- 「目的は二つ。一つはこの新生男爵領に関する記事を書き、“インディペンデンス”に掲載すること。もう一つはストールンランドの詳細な地図を作ること。男爵領の誕生以前は、ここに来ることなんて危なくて出来なかった。でも今は違う。お
- 「それとも諸国の政府や政権の長所と短所について述べた悪名高き“インディペンデンス”か?」
- 「男爵領の名前は何だ? いや、やっぱりいい。この土地の地図を作る時はこう書こう。“あらゆる道の終着点、泥の向こう側”とな。ぴったりな名前だ」
- 「おい、それは私のポニーだ! 馬鹿な動物め、なんで野営地にいないんだ?」ノームは落ち着いた様子のポニーを睨む。「でも賢かったら給料くれとか言いそうだな。やっぱり馬鹿でいてもらった方が良さそうだ」
- 「だから何だ? 私にも気に入らないものはたくさんある」ジュビロストは腰に拳を押しあてる。「気に入らないものは変えてしまえばいい。例えば、お前の男爵領が気に入らない。だから当局に、つまりお前に報告する。お前は膨れっ面をする
- 「なんたる無知。男爵領を築いておきながら自分の土地について何も知らないとは」ジュビロストは唇を噛む。「教えてやるしかなさそうだ」
- ジュビロストは顎を掻く。「川のほとりで野営していたんだ。薪をくべ終えたところであの紫色の畜生が現れた」
- ジュビロストは頭を傾げながら考え込む。こんな考えは今まで頭になかったようだ。「ああ、そうだな。こんなド田舎の領主が時事に詳しいはずがない」
- 「男爵領の名前は何だ? いや、やっぱりいい。この土地の地図を作る時はこう書こう。“地元の男爵が助けてくれる場所”とな。ぴったりな名前だ」
- 「そうなのか? なら手遅れではなさそうだ!」
- 「今のは愚かで失礼な冗談か、それとも無知のなせる業か。後者だといいが」ジュビロストは不機嫌そうな顔をする。「私は旅人として、地図制作者として、錬金術師として、記者として有名なのだ。主要な大学の学生は私の地図で世界を学んで
- 「ところで、私のような有名人が首都に到着したというのに誰も歓迎会を開かないとはどういうことだ。レッドカーペットでお出迎えしろとは言わないが、代表団くらい送ってくれてもいいだろう」
- ジュビロストはあなたをじっくり眺める。「仲間としては悪くなさそうだが、今はやめておこう。川に荷馬車と所持品を全部持っていかれたんだ。被害の規模を調べなくては」
